第6回 キャリア・ビジョン

ちょっと単純化しすぎと言われるかもしれませんが、「マーケティング」とは、結局のところ「売るためのテクニック」だ、と言えるでしょう。では、マーケティングというテクニックさえ駆使すれば、製品は勝手に売れるのでしょうか?

実はそんなことはありません。実際に様々な製品の開発・販売担当の方の話を聞くと、その製品に対する強い「思い」を担当者が持っていたかどうかが成功・不成功を大きく左右するそうです。担当者の強い「思い」、それは、製品を通じて実現したい「ビジョン」(夢)へのこだわりです。つまり、ビジョンへのこだわりが、テクニックよりもはるかに大事なことなのです。これまでマーケティングという観点からキャリアをみてきましたが、やはりキャリアにとっても、マーケティング的テクニックを磨く以上に、まず、

「ビジョンを持つこと」が重要なのです。何かを成し遂げたいという夢があってはじめて、じゃあどうする?という手法が必要になるのです。

夢が無いのに、手法だけがあるという状況は、どこか不幸な感じがしませんか?それはどこか、CMだけが一人歩きしている商品のように何かが違うという感じがします。ですので、自分なりのビジョンを持ち、キャリアを通じてその実現を果たすこと、それが「幸福のキャリア」だと私は思います。

さて、今の貴方は、これまで生きてきた過去の積み重ねです。そして、その過去は、今後の生きる方向性を示す羅針盤の役割を果たします。そういう意味で、自分が本当に実現したいビジョンは自分の中にあります。外部にあるものではありません。

例えば、収入や地位などの外的な目標を重視し、「キャリア競争に勝つ」といった意識を持っている限り、あなたは戦いつづけなければなりませんよね。しかし、キャリアは他人との競争ではなく、自分自身の可能性を広げるための貴重な機会です。この意味で、「キャリアアップ」、「キャリアダウン」という言葉も正しくありません。キャリアとは自分にふさわしい道筋を前に向かって進んでいくものだからです。

「キャリア・マーケティング」の目的である「幸福なキャリア」に話を戻すと、自分の外にではなく、中に目標を設定することが大切です。それは、収入や地位や、世間体といった目標ではなく、自分が心からやりたい、達成したいと思える目標です。そのためには、これまで生きてきた自分の軌跡を振り返り、本当の自分、ありのままの自分を発見することから始める必要があります。私はこれを自分の「原点」を見つけることだと考えています。

「自分の原点を見つけること」、これは「自分というブランド」を確立することだと思います。しかし、これはそんなに難しいことではありません。最初に必要なのは自分が何をしたいのか、そして、同時に自分の適性を見極めることです。

そもそも、ひとはそれぞれ異なる存在です。他の誰とも違うユニークな自分、オンリーワンの自分というものを素直に受け入れ、愛し、胸を張って自分らしさを主張すればいいのだと思います。

「キャリア・マーケティング」は、この自分というブランドを確立するためにきっと役に立つ考え方であると思っています。もし、今回からこのメルマガを読み始めた方はバックナンバーもご覧ください。