第7回 マネジメント層のためのキャリアマーケティング

これまでお話してきたように、キャリアづくりにおいては、「どんなビジョンを持つのか」、「何が本当に自分がやりたいことなのか」を見つけるのが一番重要であり、かつ難しい部分です。

でも、もしこの「ビジョン探し」、「やりたいこと探し」を手伝ってくれる人がいたらいいと思いませんか。その人は、自分自身には見えない「本当の自分」、心の奥底に隠れている「本当にやりたいこと」上手に引き出してくれるような人です。

会社という枠組みの中では、個々人のキャリアづくりを積極的に支援すべき立場にいるのは、言うまでもなくマネージャーの方々です。今回は、視点を変えて、マネージャーの立場から自分の部下たちのキャリアづくりをどのように支援したらいいのかについてお話します。まだマネージャーになってない方も、ご自身のため、あるいは将来のために是非お読みください。

まず、部下のキャリアづくりを支援する必要性は何なのか考えてみましょう。

その答えは、個々の社員が、どれだけ自律的に問題を発見し、課題を設定して行動できるかが、企業生き残りの鍵だからです。上からの細かい指示を待ち、受身で行動しているのでは、ものすごい速さで変化していく今の企業環境に適応できないからです。そして、実は、自律的な課題設定・問題解決行動ができるためには、個々の社員が明確なキャリアビジョンを持ち、キャリア・マーケティングを実践できる能力を身に付けていることが重要です。他人から与えられた目標ではなく、自分で設定した目標を持つことが自律的な行動を促すからですね。

では、どうやって部下たちに「キャリア・マーケティング力」を身につけさせたら良いのか。

私が、キャリア・マーケティングにおいて最も強調した点は、「自分自身をよく知ること」「自分の内部に目標を置くこと」でした。そして、このことをうまく支援できる技術があります。それは「コーチング」です。

コーチングには次のような大前提があります。

・「課題」と「答え」は、本人が持っている。(気付いていないだけ)
・もともと人間は、自ら成長・向上しようとする拡大的
・自立的な主体的存 在である。(やる気のない人間はいない、やる気が低いだけ)

そして、コーチングは、相手との対話を通じて、自ら自分の課題を発見し、その課題解決のための行動を引き出すお手伝いをします。決して「こうやったら?」といったアドバイスをしません。課題も答えも本人に考えさせる、そのプロセスをうまく導いてあげるのがコーチングです。とことん相手に考えることを促す。でも放任するのはありません。マラソンのコーチのように、部下と一緒に進む方向に向かって伴走するイメージです。選手の代わりに走るのではないし、ただ「走って来い」と指示を出すだけではないということです。

コーチングは、「聞く技術」とも言われます。「聞く」なんて簡単と感じられるかも知れませんが、実際やってみると結構難しいですよ。コーチングにはたくさんのテクニックがありますが、今回はひとつだけご紹介しましょう。

それは、「オープンな質問」をするように心がけるということです。「はい」「いいえ」で終わってしまう質問ではなく、例えば、「このことについてあなたはどう思いますか?」といった質問で、相手の思いを引き出していきます。さらに、相手の話のポイントをつかんで、「そのところをもう少し具体的に話してくれない?」といった質問で話を広げたり深めていくのです。部下は、そんな会話を通じて「ああ、そうか、これが課題だったんだ」という気付きを得ることができるでしょう。

キャリア・マーケティング力のある部下が育てば、マネージャーの方々はとても楽になります。大きな方向性さえ示せば、あとは自律的に判断し、動いてくれるようになるからです。ぜひ、コーチングの技術を学んでみてください。

さて、次回は「どうやってスキルを伸ばしていったら良いのかわからない」という方のために、私自身の体験を元にお話ししたいと思います。