第1回 マーケティングとはなにか -キャリア・マーケティング

マーケティングって、よくあちこちで聞く言葉ですが、そもそも、マーケティングとは一体何でしょう?マーケティングにも膨大な理論体系があり、全部を理解しようとするのはとても大変なんですが、その勘どころは次の2つに集約できると思っています。

一つは、自社の持ち味(経営資源)を活かして、他社と異なる製品・サービスを生み出し、顧客のニーズに応えること、もうひとつは、そんな自社の製品・サービスの良さを顧客に認知・理解してもらうことです。どんなに良い製品であっても、顧客がその製品の存在を知らなかったり、良さを理解していなければ、買ってくれないのは当然ですね。

また、マーケティングとは、需要と供給を整合させるために発展してきた技術であり、事業者側から見たマーケティングのゴールは、「顧客満足」と「顧客維持」となります。すなわち、ある商品やサービスを手にしたお客さんが、自分のニーズが充足されたことで喜び、満足してくれること、そして満足してくれたお客さんが繰り返し購入してくれることで継続的な取引を維持することです。

この「顧客満足」「顧客維持」という考え方をキャリアに当てはめて見ましょう。まず、「仕事」というサービスの提供者である私たちから見た「お客さま」は誰なのか考えてください。言うまでもなく、雇用者、すなわち企業(公的な組織も含む、以下同様)ですね。ですから、被雇用者である私たちは、企業が求めるニーズ(売上アップとか、効率的な業務遂行とか、職場内のポジションによって求められるものはいろいろですね。)を満たすような、価値ある仕事を行って顧客満足を目指さなければなりません。

そして価値ある仕事をコンスタントに行うことができれば、企業にとってあなたはかけがえのない存在となり、高い評価・報酬を用意して継続的な雇用関係を望まれるようになります。つまり顧客維持が達成されるわけですね。

ただし、ここで注意していただきたいのは、あなたは雇用者に対して一方的に奉仕する存在ではないということです。たとえ企業が貴方の仕事に満足し、いい給料を支払ってくれたとしても、自分自身は楽しくなかったり、仕事に行き詰まり感があったらどうでしょうか。これは決して「幸せなキャリア」とは言えないと思いませんか?

ですから、私は、優れた仕事をして、あなたのお客さまたる雇用者(企業)に満足を与え、雇用関係の維持を獲得すると同時に、自分自身が充実した仕事生活を送れること、すなわち「幸福なキャリア」の実現をキャリアマーケティングのゴールに置きたいと思います。実際、自分にとって幸福なキャリアであることが、仕事でいい結果を出すことにつながりますから。

ところで、マーケティングの実践に当たって明確化しなければならないことは3つあります。それは、「自社はどんな事業領域で事業を展開するのか」

「その事業領域で自社はどんな製品を提供するのか」「その製品はどんな顧客をターゲットに置くのか」です。

これも、キャリアに当てはめて見ると次のようになります。

●自分はどんな領域(業界)で仕事をやりたいのか ・・・キャリアドメインの明確化

●自分の強みが活かせる業務(職種)は何なのか ・・・キャリアポジションの明確化

●具体的にどの企業(ターゲット顧客)に自分の仕事を提供するのか ・・・勤務先の明確化

この3点を明確化することによって、キャリアマーケティングの方向性が決まります。また、自分が伸ばすべき能力やスキルもはっきりするのではないでしょうか?

そして、冒頭に述べたように、実際にある企業の仕事をゲットするためには、自分という製品の良さを認知・理解してもらうためのコミュニケーション力が必要ですし、また自分の能力を求めている企業、つまり良いお客さんを見つけるための情報収集チャネルを活用することが重要です。

次回は、まず「キャリアドメインの明確化」についてお話したいと思います。